手塚治虫『火の鳥』太陽編 その2 命懸けでも命が惜しい時もある
こんにちは、べっちです。
今日は、手塚治虫『火の鳥』太陽編についての続編となります。
昨日の記事はコチラ
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手塚治虫『火の鳥』太陽編 その1 感想 神道と仏教の強烈なぶつかり
そして今日も最後までは読めていないので、途中まで読んでの感想となります。
太陽編を読み進めると、飛鳥・奈良時代のストーリーと21世紀のストーリーが交互に現れる形式となり、どこで繋がってくるのかが楽しみでワクワクする展開となっています。
飛鳥・奈良時代側も21世紀側も、権力に挑む一人の男(時代を超えて同一人物)のストーリーです。
この男の行く先は常に過酷で、生まれながらにして体制に命をかけて立ち向かうことが義務付けられた宿命を背負ってるようにしか思えません。
21世紀側はまるでアクション映画さながら!
21世紀側では、「火の鳥」の力を手に入れて天下を取った「光」一族に対し、蔑まされてドブネズミのように生きる「シャドー」の殺し屋「スグル」が挑みます。
まるでアクション映画を見ているかのようなドキドキ感があって、「光」の本部である高い塔を上って窓に穴を開けて忍び込むシーンなんかは、ミッションインポッシブルの「ゴースト・プロトコル」を彷彿させるものがありました。
・・・まぁ、火の鳥のほうが20年以上も前ですが。
「スグル」が光の塔から盗み出そうとした「火の鳥」が実は罠で、持ち出そうとしたら爆発してしまうところなんかもとってもスリリングです!
それにしても、「光」一族が手にしているという「火の鳥」の力は、単なる作り話なのか、本当なのかは気になるところです。
でも、「火の鳥」が権力欲に溺れる側の人間に味方するとは到底思えないですし、無理矢理捕まえて閉じ込めるなんて到底不可能ですので、やはり作り話だとは思いますが。
きっと遠く空の彼方から「愚かな人間たちよ」とため息を漏らしていることと思います。
飛鳥・奈良時代側に「八百比丘尼」が再登場!!
一旦話は飛鳥・奈良時代側に戻り、その中で鳥肌モノだったのはやはり「異形編」で出て来た「八百比丘尼」の再登場です!!
「異形編」で妖怪たちの手当をしてあげるという話が、まさか「太陽編」で登場する神々のことだったとは、さすが手塚先生やることが違います!
でも、異形編の左近介は戦国時代の30年間しかループしていないので、飛鳥・奈良時代の妖怪を癒すというのは不思議な気もします。
これはもしかしたら、異形編の30年のループにはちゃんと始まりがあって、もしかしたら最初の「八百比丘尼」は「左近介」ではなく本当に800年間生きた尼層なのかもなぁ、なんて思ったりもしました。
または単に、妖怪には人間界の時間の概念が通用しないとも考えられますし、30年間ループする不思議な空間には色んな時代から妖怪たちを呼び寄せる力があったとも考えられます。
「八百比丘尼」が「太陽編」では姿を一切見せず、セリフの中でしか登場しないのもミステリアスです。
だからこそ色んな妄想が膨らむのかもしれません。
命を賭けていても、命が惜しい時もある
もう一つ印象的だったのはこのシーンです。
主人公の犬上が命を賭けて天皇を直訴を試みるものの、願い叶わず翌朝処刑されることが伝えられたシーンです。
「犬死って わぬし 犬ではないか」
では笑ってしまいましたが、注目なのはそこではありません。
あんなに死を恐れず勇敢に権力に立ち向かい続けてきたのに、天皇に謁見かなわず殺されると知った途端にここまで一気にうろたえたのが印象的だったのです。
犬上には「生きがい」がしっかりと定まっており、自身の信仰や土地の人の生活を守ることに対していつも真剣そのものです。
そして、そのためなら死んでも構わないという強い信念を持っています。
ですが、その「生きがい」を果たせず志半ばで死ぬことだけは耐えられなかったのでしょう。
犬上のように命がけの信念を持てるってスゴイことで羨ましいとさえ思いますが、そこまでの強い想いを持つことは正直僕には無理かもです。。
・・・まぁ命がけとは言わないにしても、大なり小なり僕の家族にも「いざ」という問題が起きることはあるかもしれません。
そんな時に、しっかり家族を守ってあげられるくらいの心構えは必要だなぁと思いました。
それにしても、自身が反逆者であることは分かっているはずなのに天皇に会って説得しようなどと、犬上の無鉄砲にも程があります。。
戦術など賢い部分も多い反面、頭のネジがどこか抜け落ちていますね。
でも、そういう部分も彼の魅力だと思います。
終わりに
さて、長かった火の鳥「太陽編」も次回でおしまいです。
この期に及んで主人公の「普通の幸せ」はもう全く望めないですが、明確な「死亡フラグ」はまだ立っていないと信じたいです。
せめて、飛鳥・奈良時代と21世紀、双方の彼が抱く「生きがい」「信念」は成就して欲しいと願わずにはいられません。
そして、たまには無条件に「慈悲」をくれる「火の鳥」も見てみたいものです。
それでは、今日も最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。
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