手塚治虫『火の鳥』望郷編 エデン17の悲劇を繰り返してはいけない
こんにちは、べっちです。
今日は、手塚治虫『火の鳥』望郷編についてお話します。
目的もなく無尽蔵に食べまくる「無生物」の衝撃
望郷編については過去に途中までマンガ喫茶で読んだことがあり、その頃からずっとトラウマになっていたシーンがあります。
それは、ロミ達が地球を探す旅に出て立ち寄ったいくつかの「惑星」のシーンです。
・食虫植物のような人食い惑星
・無機物のはずの土の塊や岩が暴れ出す惑星
・地球に酷似しているのに触ると感電してしまう惑星
どれも当時、ゾクゾクしながら読んでいました。
その中でも特に怖かったのは、無機物でできた土の塊が、ヘビのような生き物(?)を食べまくるシーンです。
・「ロミ」達のことは全く意に介さずヘビを食べ続けたり、
・「コム」が土で出来た足を触ったらボロボロと足が崩れたり、
・その後またすぐに足が生えてきたりと、
・・・本当に不気味の連続です。
マキムラの、
おー神様
この星に もし造物主が存在するとしたら・・・
あなたはいったい なんてえ でたらめなものを つくられたのです!
こいつは無生物じゃないですか!!
というセルフも印象的で、初めて聞いた「無生物」という言葉もインパクトが強く、以来ずっと頭に残り続けています。
毎度のことですが、手塚治虫先生の想像力には本当に驚かされるばかりです。
ですが、広い宇宙の中にはそれこそ天文学的な数の惑星があるわけで、こんなふうに不思議な星は本当に存在するかもしれません。
むしろ、地球の人間の常識で理解できる惑星のほうが珍しいのかもしれないですね。
そういえば、地球上にも無機質なのに動くものは存在しますね。
人間が作った「ロボット」です。
ヘンテコな惑星で見た無生物のように、理由も目的もなく無尽蔵に食べまくるロボットだって今の技術で作ることは普通に可能です。
ヘンテコな無生物惑星も、人智を超えた力が長い年月をかけて土の「ロボット」まで進化させたということなのかもしれません。
種族の生き残りの物語
以前に読んだ「望郷編」は途中までだったので、その後どうなったのかは知らないまま10年以上は経ったと思います。
そして今回、最後まで初めて読んだのですが、まさかこんなに悲しい結末が待っているとは思いませんでした。
まぁ火の鳥で主人公が死ぬのはもう毎度のことなので、ロミが「ズダーバン」の怪しい薬で若返った時には、僕の中で完全にロミの「死亡フラグ」は立ってしまいました。
コムについても、きっと生きては帰れないだろうなぁと、半ばあきらめながら読んでいて、実際にその通りになりました。
でもまさか、コムの星「エデン17」の人々が絶滅してしまうとは全く予想できませんでした。
エデン17の人々が狂ってしまったのは「ズダーバン」の怪しい薬のせいなのに、火の鳥はそういう点は考慮してくれないのですね。
地球の人類は「パンドラの箱」を自分で開けたことになっていますが、「エデン17」で「パンドラの箱」を開けたのは外から来た「ズダーバン」です。
やはり罰すべきは「ズダーバン」だけで十分だと思ってしまうのですが。。
(パンドラの箱とはギリシャ神話で、開けてはダメと言われた箱を「パンドラ」という女の子が開けてしまい、人間がそれまで知らなかった怒り、悲しみ、嫉妬、苦悩などの負の感情が箱から飛び出てきてしまった、という話です)
もしかしたら火の鳥は、ノルヴァの子供たちが生き残っていることを知っていて、コムやロミが生きた証としてはそれで十分だと判断したのかもしれないな、と思いました。
それと、現実世界で地球で「パンドラの箱」が開いてから、現在までのところはなんとか人類は持ちこたえています。
手塚先生は「エデン17」の二の舞にならないよう願いを込めたメッセージとして、「エデン17」の滅亡を描いたのかもしれないな、と思いました。
望郷編の先はどんな展開に?
ノルヴァの子供たちはどこか住む星を見つけて繁栄する様子は、この後火の鳥で描かれることになるのでしょうか?
・・・ちょっと「望郷編」まで読んで気づいたのですが、「火の鳥」という物語は、過去と未来を行き来しながらだんだん現代へと近づいて行っていますね。
最終巻はやはり、現代の日本が舞台になるような気がしています。
そうなると、少し寂しいですがもうノルヴァの子供たちは出番はありませんね。。
反対に、望郷編でマキムラ、チヒロ、ムーピーと、重要キャラが再度登場したように、今後もサプライズな再登場の可能性は十分にあると思っています。
個人的には、マキムラはとても人間的で面白いキャラなので、もっと若い設定でまた出てきてほしいです。
それに、望郷編で出てこなかった「猿田」一族が登場してくれるのも期待しています。
さて次は「乱世編」、火の鳥も終盤に近づき、どんな展開になっていくのでしょうか?
続きが楽しみです。
それでは、今日も最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。
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