Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

手塚治虫『火の鳥』もう一つの「黎明編」20代の手塚先生節が炸裂!

こんにちは、べっちです。

昨日は角川文庫『火の鳥』最終巻(13巻)から、
『エジプト・ギリシャ・ローマ編』
についてお話しました。
↓↓
手塚治虫『火の鳥』エジプト・ギリシャ・ローマ編 感想
 

今日は、同じ角川文庫『火の鳥』最終巻(13巻)に収録されていた
『黎明編』についてお話します。

手塚治虫先生の『火の鳥』の中でも一番最初に描かれた作品となります。

後に描かれた「黎明編」とは違う作品なの?

今回お話する「黎明編」は、1954年に雑誌「漫画少年」に連載されていた作品で、正真正銘「火の鳥」の元祖となる作品です。

13年後に雑誌「COM」に連載された「黎明編」とは異なる作品となります。

黎明編
(漫画少年版)
1954年
(昭和29年)
25歳ごろ
黎明編
(COM版)
1967年
(昭和42年)
38歳ごろ

2つの黎明編を比べてみると…

まずは2つの黎明編のシーンを並べてみることにします。

◆黎明編(漫画少年版)のナギ
元祖黎明編のナギ

◆黎明編(COM版)のナギ
後の黎明編のナギ

まず目に付くのが、漫画少年版の「黎明編」はセリフが手書きであることです。

活字印刷の技術はさすがに昭和20年代でも存在はしていたと思いますが、恐らく出版社の経済的な事情ではないかなと思います。
 

それでも、

・人間はなぜ死ぬのか?
・死んだらどこに行ってしまうのか?

という普遍的な問いは、13年の時を隔てても変わらずCOM版にも受け継がれていくことになります。
 

なお、COM版での「死んでからどこへ行くんだい?」というナギの質問に対するグズリの答えは、
「土に帰るのさ」
でした。
 
死んだら土に帰るだけ … 確かにその通りで、それが真理なのかもしれないですが、なんとも身も蓋もない答えですよね。。

2つの黎明編の歴史舞台は?

漫画少年版も、COM版も、「黎明編」の歴史舞台は古代日本「邪馬台国」です。

年老いた卑弥呼が登場して「老い」と「死」に怯える姿も同じように描かれています。

他にも共通する登場人物も多く、「猿田彦」「スサノオ」「弓彦」など、懐かしい面々との再会も嬉しかったですね。
 

ただ、先にCOM版の「黎明編」を読んでいたというのもあり、漫画少年版ではストーリー展開が多少てんやわんやになっていたように感じました。

一気に色んな人が出てきて混乱したと言いますか・・・
 

また、クライマックス(皆既日食)を迎える前に突然「打ち切り」となり、完全に不完全燃焼でした。

この打ち切りの理由は、「漫画少年」自体が廃刊になってしまったためと思われます。
 

ただ、この時の中途半端な打ち切りがあったからこそ、十分に構想を練って再度「黎明編」を発表する起爆剤になったのではないかなぁ、と個人的には思います。

「火の鳥」の寿命は3000年で「卵」での生殖

エジプト・ギリシャ・ローマ編では「火の鳥」の寿命は3000年でしたが、元祖「黎明編」でも同じく、火の鳥の寿命は3000年でした。

・寿命が近くなると「卵」を産み、
・子供が生まれると、じきに親鳥は自ら焼け死に
・子供に不死身の力が伝承される

といったものでした。
 

そういえば後に発表されたCOM版の火の鳥では永遠に生きるとされていましたが、それでも最初の方にこんな記述があります。

火の鳥の生まれ変わり
Kindle版 火の鳥 1巻 黎明編 69ページ

これは伝説として「スサノオ」が語っていたものですが、実際に火の鳥が生まれ変わるシーンは以下に出てきます。

火の鳥の生まれ変わり2
Kindle版 火の鳥 2巻 黎明編 142ページ

弓彦に射られて親鳥は死んでしまったけれど、火事で親鳥が焼けた時に若鶏が産まれたシーンです。

「3000年」という寿命も「卵」についてもCOM版の火の鳥では出てきませんが、炎に焼かれて子供に伝承するという点では最初期の「火の鳥」から受け継がれている設定だったということになりますね。
 

なぜ手塚先生は、COM版の「火の鳥」で卵による生殖をやめたのでしょうか?

「卵」で産まれるとしたら、無性生殖なのに子供が産まれるのはおかしいと判断したのでしょうか?
 

いや、そういうことではなくて、もしかしたら、より「神」に近い人智を超えた存在として『火の鳥』を描きたいという風に考えたのかもしれません。

動物たちに育てられる若鶏の『火の鳥』も可愛らしかったですけど、やはりミステリアスで孤高な存在としての『火の鳥』の方が、より『火の鳥』らしいかなと僕は思います。

終わりに

昭和20年代の伝説となっていた
・エジプト・ギリシャ・ローマ編
・黎明編(漫画少年版)
も読み終わり、火の鳥は完全読破しました!

…と思っていたら、どうも火の鳥の各編には、編集によりストーリー展開や結末が違っていたり、という派生版がいくつか存在することがあるようです。
 

特に、「羽衣編」と「望郷編」が当初は実は繋がっていたという話にはとても興味があります。

羽衣編で埋めた羽衣の正体が、望郷編で判明するという・・・

今売られている「火の鳥」に、この謎が分かる本はあるのかなぁ。

ネットでかなり探したけど見つからなかったのですが、今でも手に入るなら是非読んでみたいです。
 

それでは、今日も最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。

この記事を読んだ方は、こんな記事も読んでいます